医学豆知識

2019年7月号

多汗症

 汗の量が多くてすぐに衣服に汗染みができる、1日に何回も着替えが必要…このような悩みで困っていませんか。日本人の7人に1人は汗が多いことが原因で日常生活に何らかの支障があることが分かっています。体の一部に汗が出やすい局所性多汗症は、脇だけではなく手や足の裏、頭部、顔などにも起こり、特に接客業や営業職に就く人にとって手の汗は悩みの種となることが多いようです。
 多汗症はまず塗り薬での治療が行われますが、これで約7割の人が改善します。重症の場合は、ボツリヌス療法が行われます。これはボツリヌス菌が作り出す毒素を注射することで交感神経から汗腺へ伝わる刺激を遮断して発汗を抑える療法ですが、これで9割以上の人が改善するといわれています。
 多汗症は2010年に診断の基準や治療が示されたガイドラインが作成され、2012年11月には重症の脇の多汗症に対するボツリヌス療法が保険適用になりました。悩んでいる人は一度皮膚科を受診してください。

2019年6月号

骨粗鬆症

 骨粗鬆症は国内で1000万人を超える患者がいるといわれていますが、そのうち8割を女性が占めています。年齢別でみると、50歳以上の女性の4人に1人が骨粗鬆症になっています。骨粗鬆症は、カルシウム不足により骨がスカスカになり骨折しやすくなる全身性の病気で、高齢者が大腿骨などを骨折すると、それが寝たきりに結びついたりと、極めて深刻な問題を引き起こす場合があります。そのため、早い時期から下
記の予防法で骨粗鬆症に備えましょう。
① 煮干しなどの小魚や牛乳などからバランスよくカルシウムを摂取し、魚類やきのこ類などのビタミンDを多く含む食品を一緒に摂ることで吸収率を高める。
② 毎日30分程度のウォーキングや骨を支える筋肉の強化のためにダンベル体操などの運動を行う。
③ ビタミンDは食事からだけでなく、日光浴により皮膚でも作られるため、太陽光を浴びて日光浴をする。

2019年5月号

月経前症候群

 近年、月経に伴うさまざまな病気が知られるようになりましたが、「月経前症候群(PMS)」もその1つです。PMSは、月経前の3~ 10日の間に続く精神的または身体的な症状の総称で、約50 ~ 80%の女性に発症するといわれていますが、治療している人は少ないようです。
 PMSの診断基準は、過去3回の連続した月経周期のそれぞれ前5日間に、乳房や腹部のはり、頭痛などの身体的な症状、または、抑よく鬱うつやいら立ち、不安などの精神的な症状の1つでも該当すると診断されます。
また、PMSのうち精神的な症状がより重症化したものを「月経前気分不快障害(PMDD)」といいます。
 治療には、規則正しい生活や十分な睡眠などを指導する生活改善と薬物療法があります。薬物療法では漢方薬を使うことが多く、重症の場合にはピル(経口避妊薬)や抗うつ薬などが用いられることがあります。
 気になる症状がある場合は、お気軽に婦人科で相談してください。

2019年4月号

職場うつ

職場に原因があるうつは「職場うつ」といわれ、近年増加傾向にあります。70%以上の企業で「心の病で1カ月以上休んでいる社員がいる」というデータもあり、そういった背景には「協調」よりも「競争」を重視する企業の変化があるといわれています。
 職場うつは大きく分けると「燃え尽き型」「陥没型」「喪失型」「逃亡型」の4つのタイプに分けられます。
 職場うつの治療は、再び仕事の現場に戻ることが最終目標となります。ただし、うつを発症したときと同じ職場に戻ることにこだわる必要はありません。治療方法など詳細は「社会復帰プログラム」を行っている精神科を受診してください。

「燃え尽き型」…自分自身が納得いく水準で仕事をやり遂げたいため、ついつい頑張ってしまい、疲労やストレスが限界になり発症する。
「陥没型」…上司から無理難題を押しつけられたり、理解できない理由で叱責されたりすることで心が傷つき、発症する。
「喪失型」…突然の組織変更や進めている最中の仕事の打ち切りなどで仕事への意欲がなくなり、発症する。
「逃亡型」…新しい役職などにうまく適応できず、その不適応を自分自身も認めようとしないため、その心の葛藤が原因で発症する。

2019年3月号

四十肩・五十肩

ある日突然、肩関節に痛みが走ったり、腕が思うように動かないといった症状が起きるのが「四十肩」「五十肩」です。これは肩関節の炎症が原因で、正しくは肩関節周囲炎といい、発症する年齢によって呼び方が変わります。「放っておいても半年、長くても1年すれば治る」といわれることもありますが、後遺症が残る場合もあり、そのままにしておくのは決してよくありません。
 治療には「薬物治療」「運動療法」などがあります。薬物療法では消炎鎮痛薬を内服します。痛みが強い場合はステロイド薬を患部へ注射し、痛みが和らいできた時点で運動療法に入ります。
 運動療法の基本はリラクゼーションです。例えば、深くお辞儀した姿勢から腕の力を抜いて下に垂らし腕の重みをしっかり感じます。これだけで肩関節が伸び、内側の筋肉が自然と収縮します。このようなストレッチを続けることが症状の改善につながります。気になることがあれば、専門医を受診してください。

2019年2月号

まつげエクステンション

まつげエクステンション(エクステ)とは、まつげを長く濃く見せるために行うメイクアップ技術の一つです。まつげ1本ずつに専用の接着剤で、化学繊維などでできた人工毛を付ける手法が主流で、洗顔しても落ちず、化粧の手間も省けることから若い世代を中心に人気があります。
 しかし、施術の問題により角膜に傷が付いて目に痛みを感じたり、接着剤によるアレルギー性皮膚炎でかゆみや腫れが生じるなどのトラブルも珍しくありません。
 治療には、角膜に傷が付いた場合は、感染症予防のため抗生物質の入った点眼薬や、痛みや傷の回復を促す点眼薬を、またアレルギー性の皮
膚炎には、ステロイドが含まれた軟こう薬を処方します。いずれも3~4日で治まることが多いですが、かゆみなど、違和感を感じた時は、す
ぐに眼科医を受診しましょう。

2019年1月号

ヒートショック

ヒートショックは、暖かい室内から寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後に温かい湯船に浸かったりするなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす現象です。
 近年、家庭の浴室でヒートショックに関連した急死が多く発生しており、その死亡者数は推定で年間約17,000人と、交通事故の死亡者数より多くなっています。ヒートショックが関連した入浴中の事故は、気温が低下する10月ごろから増え始め、1月が最も多くなります。
 入浴中の事故を防ぐためにも、下記のようなポイントに注意しましょう。
▪入浴する前に、脱衣所や浴室を暖めましょう
▪湯船の温度は41度以下にしましょう
▪入浴する際に、家族にひと声掛けましょう
▪飲酒後はアルコールが抜けてから入浴しましょう