医学豆知識

2020年6月号

接触性皮膚炎

何らかの物質が皮膚に接触することで起こる「接触性皮膚炎」は、日常生活のいたるところにリスクがあります。化粧品や日焼け止め、毛染め、マニキュア、絆創膏、テープなどあらゆる物が原因で起こりますので、肌が弱いと感じている人は日用品にも注意が必要です。
 接触性皮膚炎は、特に汗をかく季節に増える傾向があります。汗をかくと皮膚は一見潤っているように見えますが、実は気化熱によって乾燥しやすく、防御能力が低下している状態です。そのため、普段使用している日用品でもかぶれなどが起こることがあります。
また、ベルトのバックルやピアス、眼鏡のフレーム、下着の金具などの金属が汗に溶け出すことでもかぶれが起きます。汗のべたつきなどが気になり、洗顔料などで顔を洗いすぎることも原因となる場合がありますので、気を付けましょう。
 炎症が続く場合は、皮膚科医などの専門医にご相談ください。

2020年5月号

尿路結石

尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱・尿道に結石がある状態です。日本では腎臓か尿管に結石がある「上部尿路結石」が95%を占めています。主な自覚症状は脇腹から下腹部にかけての激痛や血尿ですが、腎臓に結石がとどまっている状態では全く症状がないこともあります。症状がなければ経過観察となりますが、痛みを感じていても5㎜以下の結石の場合は自然に排出するのを待つケースが多いです。
 手術が行われるのは、結石が自然に排出されず、閉塞や感染で腎機能に障害が起こっている場合です。上部尿路結石の手術は衝撃波エネルギーを照射して結石を砕き、排出させる「体外衝撃波砕石術」が主流でしたが、内視鏡で結石を取ったり砕いたりする「経尿道的腎尿管砕石術」も治療数が増えてきています。
 最近の研究では、尿路結石はメタボリックシンドロームの危険因子としても注目されています。食べ過ぎや飲み過ぎ、夜型の食生活は尿路結石の要因となりますので、健康的な食生活を心がけましょう。

2020年4月号

アレルギー性結膜炎

花粉症のシーズンがやってきましたね。花粉症は、鼻だけでなく、目にかゆみや充血、まぶたの腫れなどの症状が現れることもあり、これを「アレルギー性結膜炎」といいます。
 アレルギー性結膜炎は、花粉が飛散する前から治療を始める「初期療法」が有効で、症状の軽減や発症期間の短縮などが期待できます。治療には、アレルギー反応を抑える抗アレルギー薬を使い、症状を悪化させないようにするのが一般的で、重症の場合はステロイド点眼薬を使います。鼻の症状で処方される抗アレルギー薬の飲み薬も有効で、目薬だけの治療で不十分な場合は飲み薬も併用します。また、アレルギー性結膜炎では「花粉を目に付けない」「入ったら洗い流す」といった注意も重要になります。外出時には専用のメガネなどを装着し、自宅に戻ったら目に入った花粉を点眼薬などで洗い流しましょう。
 花粉症シーズンはまだまだ続きます。しっかり対策をし、乗り切りましょう。

2020年3月号

美容目的の薬の処方

美容目的で健康保険を利用し、処方薬を求める人がいるという問題がメディアに取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。この問題は医療費増大の原因の一つともなっており、特に多いものとして皮膚疾患の人に対して処方する「ヒルドイド」や緑内障の人に対して処方する「プロスタグランディン点眼薬」などがあげられます。
 ヒルドイドは市販の美容液より安くてよく効く保湿剤であるといった内容がインターネットで紹介されたことにより、美容目的で使用するケースが増えています。またプロスタグランディン点眼薬は、点眼したりまつげに直接塗ると、まつげが伸びたり濃くなったりする効果があります。美容外科では保険外薬で処方されていますが、安く手に入れるために、緑内障ではないのに求めてくる人も多くなったようです。
 不適切な処方による医療費の圧迫は、健康保険制度の破綻を招きかねません。問題意識を持ち、薬の適切な処方を心がけましょう。

2020年2月号

ドライマウス

ドライマウスは「口腔乾燥症」のことで、唾液量の減少と質の異常により口の中が乾燥してさまざまな不快症状を引き起こし、生活の質を低下させる病気です。推定患者数は約800万人といわれ、ドライアイで悩む人と同程度いると考えられています。
 たかが口の乾燥と甘く見てはいけません。糖尿病やシェーグレン症候群(口腔や眼球の乾燥症状が特徴の自己免疫疾患)などほかの病気の合併症としてドライマウスが現れることがあるほか、高齢者の場合、食べ物をスムーズに飲み込めないことにより、気道に誤って食べ物が入り、誤ご 嚥えん性肺炎を引き起こすこともあります。75歳以上の高齢者の死因の第1位はこの誤嚥性肺炎なのです。
 下記の症状が多く見られるようであれば、耳鼻咽喉科などの専門医にご相談ください。
3カ月以上口の乾きが続く/あごの下がよく腫れる/夜間に起きて水を飲む/乾いた食べ物が噛みにくい/口の中がネバネバする/口臭がする

2020年1月号

貧血

貧血というと女性に多いイメージがありますが、男性も貧血になります。女性は月経による出血があるため、体内の鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血になるケースが多い一方で、男性の場合は鉄欠乏性貧血患者は少なく、より重い病気のサインとなっている場合があります。
 貧血で特に注意が必要なのは、消化管出血によるものです。胃潰瘍や痔などの良性疾患以外に、がんによるものがあります。特に、胃がんや大腸がんにかかり、毎日少しずつ出血すると癌の症状が出る前に貧血を引き起こすことがあるため、貧血の症状がだんだんとひどくなっているという自覚がある人は便潜血検査を受けましょう。また、便の色が黒色または赤褐色の場合や、便に血が付着したりした場合は、すぐに内科を受診してください。悪性腫瘍が潜んでいることもありますので、面倒でも検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。