医学豆知識

2018年12月号

子宮筋腫

現在、女性の3人に1人が発症するといわれている 「子宮筋腫」は、子宮壁に筋肉が異常増殖し、筋腫に なったもので、卵巣から分泌される女性ホルモンが深 く関与していると考えられています。

 ひどい貧血、頻尿、強い痛みなどの自覚症状がある と治療が必要です。治療には、まず薬物療法を行い、 症状の改善、筋腫の収縮がない場合は手術が必要にな ります。内視鏡手術は、傷口が小さく済むので、退院 や社会復帰までの期間も開腹手術の2分の1から3 分の1で済みます。

 このほか、子宮動脈を閉塞して筋腫を縮小させる方 法や、超音波を照射する方法がありますが、不妊症の リスクがあるので、妊娠希望者は選択すべきではない といわれています。どの治療法が自分の症状に合って いるか、将来妊娠を希望するかなど、多くのことを考 慮して治療法を選択する必要があります。そのとき、 自分にベストな治療を選択できるように医師としっ かり相談しましょう。 

2018年11月号

外反母趾

足の親指が「く」の字に曲がることで、突き出した 関節が痛み、靴が履きにくくなる外反母趾。日本では 病気という認識が乏しく、欧米に比べると手術する人 はまだ少ないのですが、高齢化とともに手術が必要に なる人が増加すると予想されています。

 外反母趾は女性に多く発症し、年齢は10代から高齢 者まで幅広く、30~50代で悪化しやすいといわれて います。最も多い原因は、ハイヒールや幅の狭い靴、 つま先が細い靴などを履くことによって、足の親指の つけ根が押されることが挙げられます。また、足の形 や歩き方、足の親指の筋力低下などが原因で外反母趾 になる人もいます。

 治療には、靴の選定や中敷きの調整、足の指の体操 などを行う保存療法と手術があります。親指が曲がっ た角度や痛みなどの症状によって治療方法を判断し ます。足は体の重みに耐えて歩行を支える要であり、 全身の健康につながっています。症状がある場合は専 門医に相談し、適切な治療を受けましょう。

2018年10月号

子どもの頭痛

 頭痛は大人だけではなく、子どもにも起こりますが、子どもは言葉でうまく伝えられなかったり、周囲の大人から気のせいだと言われたりして放置されてしまうことがあるので注意が必要です。
 頭痛の種類は、体や脳に原因となる疾患がなく、慢性的に繰り返す「一次性頭痛」と、頭部外傷や風邪などのウイルス性疾患によって起きる「二次性頭痛」に大きく分けられます。子どもに起きる頭痛のほとんどは一次性頭痛の「片頭痛」と「緊張型頭痛」です。
 片頭痛の原因はストレスや疲れ、睡眠の過不足、頭痛を誘発する食品などがあげられ、肩こりを伴うことが多い緊張型頭痛の原因は、長時間同じ姿勢でいることなどがあげられます。
 子どもの頭痛の治療には、頭痛の原因を探り、子どもと一緒に日常生活の見直しを行うことが大切です。薬物療法が必要になることはほとんどありませんが、改善しない場合は、専門医と相談した上で、薬物療法を取り入れましょう。

2018年9月号

コレステロール

 コレステロールは脂質の一つで、細胞膜を作ったり、ホルモンの分泌に関わったりするなど、人間の体で非常に重要な役割をしています。しかし、コレステロール値が上がり過ぎると狭心症や心筋梗塞といった成人病を引き起こす恐れがあります。成人病を引き起こさないためには、コレステロール値をどれくらいにすれば良いのでしょうか。
 最近のいくつかの調査結果から意外なことが分かってきました。それはコレステロール値が下がり過ぎると、死亡率が高まるということです。ただし、これはすべての人に当てはまるものではありません。過去に狭心症や心筋梗塞を経験した人は、再発抑制の観点から「コレステロール低下療法」を行うことが必要です。
 以上のことから、その人の健康状態により最適なコレステロール値は異なるため、主治医とよく相談しましょう。その上で、適度な運動、食生活の見直し、ストレスの軽減など、生活改善に努めましょう。

2018年8月号

先天色覚異常

 遺伝により色を正確に識別できない「先天色覚異常」は、日本人男性の約5%、女性の約0.2%に見られます。
 以前は義務づけられていた小学校の色覚検査が任意検査になってから、一部の特殊な職種や資格での色覚検査で初めて自分の色覚異常を知り、不採用になったり、めざしていた資格を断念せざるを得ないケースが増えています。現在、日本眼科医会の呼びかけで、多くの小学校が検査を再開し、早期の診断が可能となってきました。
 色覚異常の人は、暗いところや対象物が小さいときなどに微妙な色の違いを見分けるのが難しいため、色以外の情報で確認するなど、早くから慣れておくことが大切です。症状が進行することはなく、視力にも影響はありませんので一つの個性として捉え、しっかりと対策をしましょう。

2018年7月号

黄色ブドウ球菌による食中毒

 黄色ブドウ球菌は人や動物の手指や鼻腔、のど、毛、皮膚などに広く生息する菌で、特に傷口には多くの菌が存在しています。菌は食品中で繁殖し、「エンテロトキシン」という毒素を作ります。毒素が付いた食品を摂取すると、30分〜6時間の潜伏期間を経て、突然嘔吐や腹痛、下痢などの食中毒を引き起こします。
 調理する人の手指から食品を介して感染することが多く、特におにぎりやサンドイッチ、弁当などの手作りの食品が原因となることが多いです。「エンテロトキシン」は熱や乾燥に強いため、加熱した食品でも食中毒を引き起こすことがあります。下記の予防法で未然に防ぎましょう。
①手指の洗浄・消毒を十分に行う。
②手指に傷があるときは直接食品に触れない。
③調理中に髪の毛や顔に触らない。
④食品は10℃以下で保存し菌が増えるのを防ぐ。
⑤ 下ごしらえから調理、食べるまでの時間をなるべく短くする。

2018年6月号

子どもの寝不足に注意

 スマートフォンにゲーム、部活動、塾通い…子どもたちの日常は忙しく、どんどん夜型になりつつあります。文部科学省の調査では、午後10 時までに就寝している小学生の割合は41.4%、11 時までは36.2%で、9時までに寝ているという人はたった7.8%でした。中学・高校生では、深夜0時以降に就寝している人がそれぞれ22%、47 %という結果が出ています。また、携帯電話やスマートフォンで通話やメール、インターネットを利用する時間が長いほど、就寝時間が遅くなる傾向にあり、就寝時間が遅い子どもほど「何でもないのにイライラすることがある」と回答する割合が高くなっています。
 睡眠時間や質には個人差がありますが、子どもに必要な睡眠時間は8〜10時間といわれています。寝不足を感じているようであれば、最適な睡眠時間はどれくらいなのか、子どもと一緒に考えましょう。そして、大人も一緒にきっちりと睡眠をとり、規則正しい生活を送るようにしましょう。

2018年5月号

ドライアイ

 「パソコンの画面が見えにくい」「目が重く感じる」「目がゴロゴロする」といった症状を感じたことはありませんか?大したことはないとそのまま放置しがちなドライアイですが、集中力がなくなるなど、仕事の効率が下がることが分かっており、早めに治療することが必要です。
 ドライアイは、涙の量の不足や成分のバランスが崩れることによって、目の表面に涙が行き渡らなくなったり、涙が蒸発しやすくなったりして角膜や結膜に傷ができる病気です。治療には、一般的に点眼薬が用いられます。これまでは、涙の水分を補給し、角膜を修復する点眼薬が使用されていましたが、最近では、涙の層別に働きかける点眼薬が開発され、涙のタイプや原因に応じた治療が可能になっています。
 ドライアイの点眼薬にはさまざまな種類があり、治療中に薬が変わる場合もあります。良くなったからと自己判断で通院をやめず、点眼を開始した約2週間後には、必ずもう一度診察を受けてください。

2018年4月号

糖尿病と認知症

 国民健康・栄養調査(平成28年)によると、「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせた数は約2000万人といわれています。糖尿病患者数が年々増加する中、男女とも高齢になるほどその割合は増えており、70歳以上の5人に1人は糖尿病が強く疑われるという結果になっています。
 糖尿病の3大合併症といえば網膜症、腎症、神経障害ですが、近年は「認知症」もその1つとして注目されています。認知症高齢者のうち、元々糖尿病を患っていた人はそうでない人の約2倍に上り、糖尿病の期間が長いほど発症率も高くなっています。また逆に、認知症を患っていると糖尿病になりやすいことも明らかになっています。
 健康診断で糖尿病の可能性を指摘されたときは、放っておかずに医療機関を受診しましょう。早めに適切な治療を開始し、血糖を良好にコントロールすることが合併症の進行
を防ぎ、認知症の予防にもつながります。

2018年3月号

骨折しない体づくり

 2016年現在、日本人の平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳となっており、今後も平均寿命は延び続けると予想されています。元気な高齢者が増えるのは良いことですが、一方で、軽微な転倒などにより骨折する人も増えています。高齢者の骨折は回復に時間がかかり、寝たきりや介護を招く原因にもなります。
 骨折を防ぐには、骨の強度を上げることが大切で、そのためには骨に負荷をかけるジョギングのほか、飛び跳ねるなど骨に衝撃のかかる運動が効果的です。骨の強度の目安となる骨量は、女性では18歳、男性では20歳ぐらいがピークとなり、中高年になるとだんだんと減っていきます。
 普段運動していない人が、高齢になって急に始めるのは大変なので、運動は若いうちから習慣づけるようにしましょう。それが元気な高齢者になる秘訣となります。

2018年2月号

女性外来を開設するクリニックが増えています

 がんで死亡する人は年間約37万人。うち女性の死亡者数は約15万人で、最も多いのは大腸がんの約2万5000人といわれています。大腸がんは、早期発見・治療ができれば治る可能性が高いのですが、女性の場合、肛門周囲の疾患に対する羞恥心が壁となって受診をためらう傾向にあり、発見が遅れることが問題視されています。そのような中、女性のこうした気持ちに配慮し、体の悩みや不安を何とか診療につなげようと、女性外来を開設し、そこに女性医師を配置するクリニックが増え始めています。
 大腸がん検診では、一般的に便潜血検査が行われますが、ある程度がんが進行しないと便潜血が現れないため、肛門から出血がある場合は要注意です。また、大腸がんは40・50代でリスクが上がりますが、20代でなる人もいますので、気になる人は大腸内視鏡検査をお勧めします。女性外来の有無については、各クリニックのホームページなどでご確認いただけます。

2018年1月号

冬でも注意!食中毒

 食中毒というと「夏に起こるもの」と思うかもしれませんが、実は冬でも注意が必要です。中でも流行しやすいのがノロウイルスによる食中毒で、その患者数は年間1万4000人にも上り、食中毒の原因物質の中で最も多い症例となっています。
 ノロウイルスはカキなどの二枚貝の生食が感染源として知られていますが、手指などを介して人から人へ広がっていくことが多いウイルスです。そのため、人が集まる場所で感染が拡大しやすく、これからの季節は細心の注意が必要となります。症状がある期間は短期間ですが、抵抗力の弱い子どもや高齢者などは重症になることもあるので注意しましょう。
 ウイルスはわたしたちの身近にあっても目には見えないので、意識して予防することが大切です。「食事の前や帰宅時などはせっけんでよく手を洗う」「肉や魚、貝類などの調理をするときは、中まで十分加熱する」など、予防のポイントをしっかりと押さえ、安全で健康な生活を送りましょう。